前日は知人と忘年会。翌日は昼まで無為に過ごしたものの、晴天。大川嶺に通じる県道328号線は冬季通行止めとなるが、ダメモトでW650とともに大川嶺を染める夕景を目指すことにした。
DABUROKU TOURING No.19発刊
右のピークが大川嶺
大川嶺からの夕景を求めて
前日の金曜日の天気予報では、土曜は晴れ、松山での予想最高気温は17℃。日曜は雨。となれば、この日の夜の忘年会は深酒はしないようにと思いつつ…。結局、メニューに書かれた日本酒の味を確かめようと右から左へと順に注文してしまう。やはり、島田酒造㈱の小富士超辛口は秀逸だ。
結局昼まで寝入ってしまい、「ものすごくいい天気だよ」と妻に起こされる。この時間から行ける場所はそう多くはない。
国土交通省四国地方整備局の道路情報システムを確認すると、冬季は通行止めとなる大川嶺への県道328号線には規制が出ていない。正しく反映されていないかもしれないと思いつつも、ダメモトで行ってみることにした。
道中見上げた久万高原町の方向は、すっかり晴れ渡っている。国道33号線を久万高原町御三戸(みみど)で県道328号線へ。美川スキー場付近の道路情報には「夜間早朝凍結注意」との案内のみ。「行ける!」と気持が逸る。
夕日の沈む大川嶺を初めて訪れたのは去年の秋。無限のラティチュードが空を染める美しさは感動的だった。そのせいか普段の生活の中で、特に夕刻、皿ヶ嶺連峰の稜線がくっきり見えるような日にはその時の光景が脳裏に浮かび、今すぐにでもバイクを走らせたい衝動に駆られるのだ。
そして、期待を裏切らない光景が僕を待っていた。
電子基準点のある付近から
冷たい風が緩やかに吹いている。松山での日の入りは17:00ぐらいだったと思うが、16:30頃には到着したからまずまずの時間だ。眼前に広がる光景が、刻一刻と色を変える。天候次第でこれほど大川嶺一帯の表情が変わることに驚きつつも、去年とは違う新しい感動に包まれる。ついついここへ足を運んでしまうのは、そういうことがあるからだろう。
表紙にする写真を撮るために、逆行かつ太陽の強い点光源とW650のメタルな雰囲気を一枚に収めようと悪戦苦闘。そして力量の無さに落胆する。あまりここで時間を費やすと、本当の日没に間に合わなくなる。大川嶺から笠取山へと続く稜線に太陽がかかった頃合いを見計らって大川嶺を目指す。
時すでに遅し。太陽は彼方に没しようとしていた
大川嶺に登ることすらできなかった。時間を止めることが出来たなら…。太陽はあっという間に姿を隠してしまった。方角としては大分県の臼杵市の方なのだが、果たしてどこまで見えているのか。太陽は没したが、本当に僕が見たかったのはこの後の時間帯だ。
オレンジ色から紫だろうか、滑らかなグラデーションが空を覆う
月の入りがもう少し早ければ日の入りとシンクロする光景が見れるかもしれない
表紙の写真を撮っていた時には吹いていた風が、この頃には止んでいたのではないだろうか。海陸風が凪になっていたのかもしれない。12月の標高1,500m付近ながら、風さえ吹かなければ温かく感じられるのだから不思議だ。僕にとっての大川嶺は、自宅からそれほど遠くない場所で自然や地球を体感できる場所でもある。
味を求めるならドリップ、握り締めるなら缶
グローブをタンクバッグの上に置きっぱなしにしておいたのは間違いだったと、手にはめてから気づく。内側まですっかり冷えきっている。グリップヒーターをONにするが、それ自体も冷えきってからの状態のためになかなか温まらない。先日購入したZippoのハンディウォーマーを忘れていこともあり、早く手を温めたい。
以前は、国道33号線と大川嶺の中間ぐらいにある大谷集落に自動販売機が設置されていたのだが、いつの間にか撤去されていた。道の駅みかわまでしばし頑張る。
冬場にうれしい缶コーヒー
最近はコンビニでどこでもドリップコーヒーが飲めるようになった。安い上に美味しいのだが紙カップのため握り締めることはできない。缶コーヒーを買う理由は握り締められることに尽きる気がする。
三坂峠からの夜景
帰り道、三坂峠からの夜景を探すことにした。三坂第1トンネルを抜け、左折して少しばかり走ると待避所がある。ガードレールをまたいだ場所の草が刈られているところを見ると、ここから写真を撮る人達がいるようだ。
バイクを重ねて撮るにはどうしたらいいか悩みつつ、ここでも力量のなさに落胆。それでもここで写真を撮った証を残そうとシャッターを切る。
夜景めぐりも楽しそうだ
時間を止めることはできない。その時間をどうやって写し込むか、いろいろ考え悩んだツーリングだった。
この間の燃費…28.7km/L(これはこの日のツーリング出発時の給油)