キャンプ

2016年11月7日月曜日

ツーリング 久万高原町にて紅葉狩

11月は紅葉シーズン。美しい紅葉を求めて、W650とともに久万高原町をツーリング。


DABUROKU TOURING No.18発刊



大川嶺分岐からブナ林を縫う愛媛県道328号線にて


今年の紅葉はやはり遅い 面河渓



朝、空を見上げると北の空は灰色がかっているものの、南の空は比較的明るい。前日の天気予報が、大陸から寒気が張り出すため日本海側は曇り、一方太平洋側は晴れと言っていたことを思い出す。

行き先を決めないままツーリングに出発するのはいつものことだが、そんなツーリングにあって、おおまかな方向を決めてくれるのはたいてい「空」だ。僕とW650は一路南を目指すことにした。12月になれば大川嶺へ通じる愛媛県道328号線が美川スキー場より先で通行止めになる。それまでにもう一度ぐらいは大川嶺に行っておきたいという気持ちも働いた。

久万高原町のコンビニで小休止。喫煙所で煙草を吸っていると後からやってきた年配の男性が隣りで煙草に火を点ける。

「すいません。地元の方でしたら、面河渓の紅葉の様子をご存知ですか?」
「そうだね。今年は暖かい日が続いたからまだ間に合うかもしれないね」

聞けば、例年は11月3日の祝日の頃にはもみじが散ってしまうらしく、それは冷たい面河渓の水温によるところが大きいようだ。

男性は、色づく時も散る時も一気に進むと言った後で、「もしかしたら散っているかもしれないけれど」と少し自信なさそうに言葉を継ぎ足した。「水面を流れるもみじもそれはそれで綺麗だと思うので行ってみます」と礼を言い、面河渓を目指すことにした。

国道494号線から愛媛県道12号線へ。「もみじライン」という看板が掲げられている通り、もみじがそこかしこで風に揺れている。色づき方は一様ではないが真っ赤なそれもあり、面河渓への期待は高まる。

振り返れば紅葉シーズンまっただ中の面河渓を訪れたのは初めてだった。その美しい景色を目にとどめようと多くの人が訪れている。「今日は写真で紅葉狩りでもしてみるか」などと思いながら、僕は遊歩道を上流に向かって進む。

しかしなかなか思うように色づいたもみじにめぐり逢えない。ため息混じりにぼんやりしているとカメラを手にした男性から声を掛けられた。

「向こうに行ったら滝がありましたよ」

紅葉に関する情報交換をと思うが、お互いため息が漏れてしまう。やはり紅葉は来週ぐらいが見頃のようだ。

男性に教えてもらった滝は、案内を見ると虎ケ滝とある。まだ色づいていないもみじと、その向こうに見える虎ケ滝が何とか一枚の絵になるような場所を探して面河渓に来た証としよう。

奥に見えるのは虎ケ滝

面河山岳博物館まで引き返し、遊歩道を上流に向かう途中で


きじ肉うどんで心も体もあたたまる 



面河渓を後にして、国民宿舎古岩屋荘へ。見れば駐車場のテントでは「名物 きじ肉うどん」が一杯500円。朝から食べたものといえばおにぎり3個。これから標高1500mの大川嶺に行こうと考えていたこともあり、体を内側から温めておくことにした。

きじ肉からとった出汁が効いている

うどんつゆは甘すぎず辛すぎず。これがトッピングのごぼうときじ肉によく合う。きじ肉はさっぱりとしている。気温が下がると甘いモノを食べたくなるのだが、温かい上に甘い味付けはうれしい。


大川嶺を越える雲と風



面河渓の紅葉が見頃には少し早かったこともあり、大川嶺の紅葉に期待がまったくなかったわけではない。が、1500m付近だということを考えれば、終わっていることは容易に想像できた。

近づくにつれ、見上げた大川嶺方面は雲の中にあることが見て取れる。それまで花を咲かせていたススキは標高が上がるにつれて、すっかり花を散らしてしまっている。最初に姿を現す美川峰では、雲が強い北寄りの風のためにめまぐるしく姿を変えながら越えてゆく。いままで来た中で一番厳しい天候だ。

大川嶺分岐、大川嶺、笠取山へと進むが灰白色の光景が続く。北側に遮るものがない場所では一瞬車体が煽られそうになるのをこらえつつ、笠取山の駐車場(のような場所)まで進み小休止。青い空、太陽、笠取山の山頂などが一瞬見え、すぐに隠される。好天する気配はない。

大川嶺分岐から愛媛県道328号線を下り、ブナ林へ向かう。南側の斜面ということもあるせいか、あれだけ強かった風が嘘のように止む。

路上に散った葉は風によって一カ所に掃き清められていた

大川嶺を訪れた際、好んで写真を撮りに行く場所がある。先日のツーリングでは、雲が手に届きそうな高さを流れていたが、今日はまったく雲の中に入ってしまっている。

風さえなければもう少し耐えられるのだが

遮るものは何もなく、冷たい風が容赦なく吹き付ける中で、寒々とした光景を何とか写真にできないものかと粘ってみる。体の方は、前日に妻が買ってくれたインナーが功を奏して比較的あたたかいのだが、インナーグローブ程度の薄さではカメラを操作したりフィルターやレンズを付け外しする手がおぼつかなくなる。

まだ緑色を残している草も冬を経て白く枯れてしまう

稜線の向こうの辺りの雲の中に居たようだ

天候も紅葉も人間の都合に合わせてはくれない。人間はそれに合わせて、または偶然に巡り合うことで初めて感動を得ることが出来るかもしれない――そんなことを思った久万高原町の紅葉狩だった。

 【メモ】
この日の燃費…29.8km/L(前回分を含む)

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